ランニング
ランニング、いいですよ。
メロウは学生時代、髪型が崩れるという理由から汗をかくのが大嫌いでした。
元々は筋金入りのスポーツ嫌い。今でも得意ではありません。
マラソン大会は毎年サボってたし、体育の授業はいつも赤点ギリギリでした。
だからランニングなんて、自分には永久に無縁だと思っていました。
しかし転機が訪れた二十代の終盤。
メロウは椎間板ヘルニアで倒れ、まともに歩けなくなりました。
これで人生の第一章が終了だと覚悟しました。
メロウの仕事は、まず五体満足以上である事が必要不可欠だからです。
自分の情けなさに打ちひしがれたメロウですが、腰への負担を減らす為のダイエットを決意しました。
まずは水泳を始めて体重を10キロ落とし、それでもまだ五体満足以上までは鍛えられなかったので、更に足腰への負荷の大きいランニングを始めました。
最初は恐る恐るでしたが、人間ってなかなか凄い。
数ヶ月経つと、それまでとは重力の感じ方が全く変わっていたのです。
身体が軽い。
いちいち覚悟を決めないと布団から出られなかった頃が嘘みたい。
仕事の為に必要不可欠だったとは言え、メロウのその進歩に一番驚いたのが、遠くから見守り続けてくれた両親でした。
学生時代の自分はいつも体育が赤点ギリギリで、可能な限りスポーツと分類されるものから逃げ続けた少年だったからです。
生きる為に避けて通れない「仕事」というものが、いかに辛く厳しいか、よくわかりますね。
ランニング中はスマホも液晶画面も見ない。
移りゆく季節を眺めながら、イヤホンから流れるグッドミュージュクに耳を傾ける至福の時間。
情報過多の時代だろうがお構いなしに、結局インスピレーションってそんな時に訪れるものです。
タイムイズマネーを地で行って、無理して身体を壊して、空回っていたあの頃の自分を懐かしく思いつつ。